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一生懸命話しているとき、何を練習しているんだろう?

Nao705

英語を話せるようになりたければ、とにかく話すこと。
 
よく聞く言葉です。
 
実際に話してみなければ、気づけないことはたくさんあります。
 
知っているはずの単語が出てこない。
 
言いたいことはあるのに、うまく形にならない。
 
相手の反応を見て、別の言い方を探してみる。
 
そうした経験を重ねるうちに、以前より自然に言葉が出てくるようになることもあります。
 
だから、話すことは大切です。
 
ただ、長く英語を教えていると、ときどき、気になることがあります。
 
英語を一生懸命話しているとき、私たちは、いったい何を練習しているんだろう。
 
 
英語を話しながら、滑らかになっているもの
 
たとえば、日本語で言いたいことを考える。
 
その内容に合う英単語を探し、習った文法に当てはめ、英文にしていく。
 
この方法でも、英語でけっこう複雑なことまで伝えられます。繰り返せば、以前より速く話せるようにもなるでしょう。
 
でも、そのとき滑らかになっているのは、英語で物事を捉える処理なのでしょうか。
 
それとも、日本語で捉えたものを、速く英語へ置き換える処理なのでしょうか。
 
発音にも、似たことが起こります。
 
英語の音を聞いて、日本語で使い慣れた音のまとまりとして受け取り、そのまま再現する。
 
一音しかなかったところが二音になったり、なかった母音が入ったり、響きそのものが違っていても、本人には同じ音を繰り返しているように感じてしまうことがあります。
 
そこで回数だけを増やせば、その工程は、だんだん上手になります。
 
英語を練習しているつもりで、日本語で培ってきた音の捉え方や身体の使い方を、より滑らかにしているのかも。
 
練習によって上達することと、目指している方向へ近づくことは、必ずしも同じではない。
 
真面目に取り組むことには価値があります。
 
ただ、その真面目さで、何を見て、何を繰り返しているのか。
 
そこなのだと思います。
 
 
では、話さない方がいい?
 
ここまで考えると、英語を話すのが少し怖くなりそうです。
 
間違った処理を繰り返したら、そのまま固まってしまうのではないか。
 
日本語の感覚で英語を聞いていたら、いつまでも英語の感覚は育たないのではないか。
 
でも、実際の学習者を長く見ていると、人間の脳は、そこまで単純でも不器用でもないように思えます。
 
頭の中では日本語の意味を探していても、耳には英語の響きや呼吸が届いています。
 
長くしっかりと届く響きと、短くても深く響く音。
 
言葉と言葉のつながり。
 
どの順番で像が立ち上がり、どこへ意識が動いていくのか。
 
その人は日本語で理解したつもりでも、日本語の処理だけでは回収しきれなかった何かが、少しずつ残り、別の英語とつながるタイミングを待っている。
 
私は、そこにはいつも、小さな隙間があるように感じています。
 
その隙間から、英語の音や言葉の現れ方が、少しずつ入ってくる。
 
人が、意識して一つひとつ説明できなくても、繰り返し触れる入力から規則性を捉えることや、大人になってからも、第二言語の音の体系が経験に応じて変わり得ることは、研究でも扱われています。
 
私たちは、自分で自覚している経路だけで、言葉を学んでいるわけではないのでしょう。
 
 
小さな隙間が働くために
 
ただ、隙間があるからといって、ほんの少し英語に触れるだけで、自然に英語の感覚が育つわけではありません。
 
一度だけ出会った音や表現は、日本語の処理の中に埋もれて、そのまま通り過ぎるかもしれません。
 
けれど、違う人の声で聞く。
 
違う場面で、もう一度出会う。
 
似た表現と並んで現れる。
 
以前はただの違和感だったものが、何度も、少しずつ違う角度から入ってくると、ばらばらだったものの間につながりが見えてくることがあります。
 
同じ例文を百回繰り返すことと、同じ言葉に百の異なる場面で出会うことは、同じではありません。
 
英語に触れる「量」は大切です。
 
でも、その量の中に、声や場面や関係性の違いがあることも、大切なのだと思います。
 
 
レッスンのあと、英語の入り方が変わる
 
レッスンだけで、英語のすべてを身につけることはできません。
 
週に一度、あるいは月に数回の時間だけで、英語の音や意味の体系を丸ごと取り込むことは難しいでしょう。
 
でも、レッスンで英語の根っこが少し見えると、

それまで同じに聞こえていた二つの音が、違うものとして聞こえ始めることがあります。
 
暗記していた文法の向こうに、英語がどこを捉え、どのように言葉にしているのかが、ふと見えることもあります。
 
すると、レッスン中に全部を習得していなくても、そのあとに出会う英語が少し変わります。
 
以前なら通り過ぎていた音が、耳に引っかかる。
 
字幕を見て終わっていた表現に、「なぜ、この言葉なんだろう」と意識が向く。
 
別の場面でまた出会い、前に感じたものとつながる。
 
レッスンで英語を全部入れるのではなく、普段の生活の中で英語が入ってこられるように、見方や聞き方の角度を、ほんの少し変える。
 
そして、その隙間を少しだけ広げる。
 
発音も、文法も、英作文も、私の中では、そこにつながっています。
 
 
人間の脳は、思っているより複雑なのかもしれない
 
一生懸命話すことで、日本語側の処理が、さらに滑らかになることがある。
 
同じ時間の中で、日本語では回収しきれなかった英語が、小さな隙間から入ってくることもある。
 
この二つは、矛盾せずに、同時に起きているのかもしれません。
 
だから、ただたくさん話せばよいとも、正しく理解できるまで話してはいけないとも思いません。
 
今、自分は何を繰り返しているのか。
 
そして、まだ自分の中にない英語が入ってこられる余地はあるだろうか。
 
そんなことを、ときどき眺めてみる。
 
私たちの脳は、自分で意識しているよりも、ずっと多くのものを受け取りながら、少しずつ自分自身を変えているのかもしれません。
 
その働きを信頼しながら、どんな英語に、どんなふうに触れていくのかを考える。
 
それも、言葉を学ぶ面白さの一つなのだと思います。
 
 
━━━━━━━━
 
 
もし、この記事を読んだあと、いつもの練習や英語の聞こえ方を少し違って眺められたなら、この見方は、今のあなたの英語に合う入口なのかもしれません。
 
コラムは、たくさんの方に向けて一方向に書いているものです。レッスンでは、実際に何を聞き、何を繰り返しているのかを、その方の発音や文法、英語の捉え方に合わせながら、一緒に確かめていきます。
 
英語をたくさん練習しているのに、いつもの日本語らしい音や組み立て方へ戻ってしまう方へ。
 
今、自分が何を聞き、何を繰り返しているのかを、発音・文法・学習法のそれぞれから一緒に見ていくことができます。
 
→ ⭐【発音|基本】英語の発音矯正(アメリカ英語)
 
https://cafetalk.com/lessons/detail/?id=645517
 
→ ネイティブ感覚の英文法(45分)
 
https://cafetalk.com/lessons/detail/?id=369623&key=bd1e133253ab4c1f966b9197836cc9f9
 
→ 英会話の学び方コーチング
 
https://cafetalk.com/lessons/detail/?id=347918&key=d19ed04fa875851209ae1bca3c80184c

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