「フランス語のことわざで学ぶ、ちょっとオシャレな人生の知恵」第1弾

Kaoru77

フランス語には、日常生活や人生の知恵を表す proverbes(ことわざ) がたくさんあります。今回は、フランス語のことわざをいくつか取り上げてみます。

それぞれのことわざの由来や理由を知ると、フランス人の感性やものの考え方が、ぐっと身近に感じられると思います。


今回は、第一弾です。

1.L’habit ne fait pas le moine. – 服は、修道士を作らない。 

意味:外見に惑わされず、本質を見よう

→ 見た目だけで人を判断するな、という警告。

(豆知識)

「修道士」というのは単なる比喩で、敬虔さや職業の象徴としてこの言葉が選ばれています。
中世ヨーロッパでは、修道士たちは 特定の服装(修道服)を身につけていました。修道服を着ると、その人が「聖職者・敬虔な人」とすぐにわかります。
直訳すると 服は人を修道士にはしない、 つまり、「服を着ただけでその人が修道士になるわけではない」ということ。「外見だけではその人の本質はわからない」 という教訓です。

中世フランスでは、身分や職業は服装で判断されることが多かった。たとえば、農民、貴族、修道士…服で社会的立場がわかる時代でした。
だから 「服装だけで判断してはいけない」 という意味で、修道士の例が使われたんですね。

現在のフランスは多宗教化が進み、無宗教の人も多い国ですが、歴史的に見ると、かつては「カトリック国家」と言ってよいほど宗教の影響が強い社会でした。修道士が例えとして使われているのも、そうしたフランスの歴史的背景を感じさせますね。

2.On ne fait pas d’omelette sans casser des œufs. – 卵を割らずにオムレツは作れない 

意味: 何かを得るには犠牲や努力が必要

(表現のかわいらしさとは裏腹に、シビアな場面で使われることが多いです)

(豆知識)

直訳:卵を割らずにオムレツは作れない

言葉から想像できるように、「結果を望むなら、途中で何かを壊さなければならない」というロジックですが、日本語の「何かを得るには努力が必要」とはニュアンスが少し違うんです

この諺の核心は、犠牲・痛み・誰かが嫌な思いをすること。努力(頑張る)というより、誰かが傷つく、何かが失われる、不都合が生じる、それをあらかじめ織り込め、という発想。

ですので多くの場合、行動する側の自己正当化として使われます。仕方なかったんだ、 目的のためには必要だった、という やや冷たい合理性。ですので、励まし、優しいアドバイスにはあまり向かないので、使う際には少し注意が必要かもしれません。

典型的な使われ方

① 改革・決断の文脈

Il y aura des mécontents, mais on ne fait pas d’omelette sans casser des œufs.
(不満は出るだろうけど、犠牲なしでは何も変えられない)

政治・組織・改革トークで非常によく出る言い方です。

② 失業・切り捨て・リストラなどの文脈で

 Des gens ont perdu leur emploi, mais on ne fait pas d’omelette sans casser des œufs.
(人は職を失ったけれど、何かを成し遂げるには犠牲は避けられない。)


「努力」というよりも 犠牲・損失 が核なことわざで、改革・決断などの文脈で行動する側の論理を正当化する時に使います。

表現自体は素朴で可愛いけど、使われる場面はシリアス。オムレツという軽さで、人生の重さを語る。皮肉好きなフランス人ぽい、と感じるのは私だけでしょうか?(笑)


3.C’est en forgeant qu’on devient forgeron. – 鍛冶をすることで人は鍛冶屋になる 

意味:練習や経験を積めば上手になる

→「やってみないと上達しない」の典型表現。(韻を踏んでいるのも、分かりますか?)

(豆知識)

フランス語で forgeron は「鉄を打つ職人、鍛冶屋」のこと。中世~近世ヨーロッパでは、鍛冶屋は 経験で技術が磨かれる典型的な職人 でした。鍛冶屋の仕事は、鉄を叩く力加減や火加減など、失敗しながら覚える 必要があります。

直訳すると C’est en forgeant qu’on devient forgeron は「鍛冶をやることで人は鍛冶屋になる」。要するに、練習しなければ本物になれない ということ。

例え話として鍛冶屋が選ばれたのは、「努力して身につける職人の代表格」 だからです。
鍛冶屋は 手順が多く、すぐには上手くいかない仕事。だから「やってみて覚える」の比喩としてぴったり。他の職業(例えば医者や教師)だと、「経験で学ぶ」イメージは湧きにくいんです。

フランスでは中世以来、鍛冶屋は村に欠かせない存在で、農具や生活道具を作る専門技術を持つ職人として一目置かれる存在でした。こうした「手を動かし、経験を積み重ねる職人文化」が、フランス語のことわざにも色濃く反映されているように感じます。

 

つづきは、第2弾で!お楽しみに!

 


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