みなさん。
漢字の読み方に苦労している人は多いと思います。
一つの漢字にいろいろな読み方があって、それらを全部覚えるのは大変ですから。
でも、読み方を無理に覚えようとするまえに、意味や使い方をきちんと確認、整理しておけば、覚えるのも少しは楽になりますよ。
そこで今回は、漢字そのものは全く同じなのに、送りがな(動詞や形容詞の漢字の後ろに続くひらがな)や前後関係、または前に来る目的語で読み方が変わってしまう漢字をいくつか集めました。
いつものように設問を先に提示します。〈〉内の漢字を読んでください。
みなさんは全部読める自信はありますか。
では、スタート!
問1 a 警察はさっきこの道を〈通った〉人物を追っている。
b 私は若い頃、料理学校に〈通った〉ことがあります。
どちらも〈通った〉ですが、辞書形に直すとaは「通る」、bは「通う」です。
さらにaは「通過」を意味するので、「この道」などの通過点を表す言葉と助詞「を」を、bは、いつも同じところに行く、という意味なので、学校や会社のような言葉と助詞「に」を伴います。
「通る」は「とおる」、「通う」は「かよう」です。
設問はどちらも「通った」ですが、aは「とおった」、bは「かよった」です。
迷わずに読めましたか。
問2 a ゆうべは酔っていたので、服を〈着た〉まま寝てしまった。
b 駅に〈着いた〉ら、電話してください。
これも辞書形に直すと、aは「着る」、bは「着く」です。
また、aは目的語「服」と目的を表す助詞「を」があり、bは場所を表す名詞「駅」、そして到着点を示す助詞「に」があります。
「着る」は「きる」、「着く」は「つく」ですから、aは「きた」、bは「ついた」です。
これは難しくなかったと思いますが...
なお、「着る」は例外の2グループ動詞という点も忘れずに。
そして動詞を覚えるときは、意味や読み方はもちろんですが、いっしょに使う助詞も覚えるようにしましょう。
問3 a 日が暮れると、この付近は真っ暗になるので、〈明るい〉うちに帰りましょう。
b 表情には出さないが、あの人が怒っていることは〈明らか〉だ。
aは「暗い」の反対語、bは「誰にでもはっきりわかる」という意味です。
aの「明るい」は「あかるい」、bの「明らか」は「あきらか」と読みます。
簡単そうに見えますが、送り仮名「..るい」と「..らか」をきちんと覚えておかないと、「明らか」を「あくらか」と読んでしまいます。また、「明るい」はイ形容詞、「明らか」はナ形容詞なので、活用の変化も違います。
ところで、「暗い」を「くろい」と読み間違えている人、いませんか?「くろい」は「黒い」ですよ。
「私の部屋は〝くろい〟です」なんて言わないでくださいね(笑)。
問4 a 新鮮な野菜を求めて、朝からたくさんの人が〈市場〉に集まりました。
b 経済アナリストは常に〈市場〉の動向に目を光らせている。
新鮮な野菜や果物、また魚などを売ったり買ったりする場所を「いちば」、株や為替などの金融商品を扱う仕組みや経済状況を全体的に示したりする場合は「しじょう」と読みます。従って、aは「いちば」、bは「しじょう」です。また、「市場(いちば)」は売り買いが行われる場所ですが、売り買いは店ではなくて、主に倉庫のような所で行われます。「魚市場(うおいちば)、青物市場(あおものいちば、野菜や果物を扱う)」のような言い方もあります。「市場(しじょう)」も「市場調査(しじょうちょうさ)、株式市場(かぶしきしじょう)」のように複合名詞で使われることも多いです。
繰り返しになりますが、直接売ったり買ったりする場所が「いちば」、経済の動きなど「抽象的な概念」として言う場合は「しじょう」です。
ちょっと難しかったですか。
でも、次の設問はもっと難しいですよ。
問5 a 結婚式には〈大勢〉の人が来てくださって、本当に感謝しています。
b 多少不本意でも、社会の〈大勢〉に従って生きるのが無難だと思う。
「大勢」は「たくさんの人」を表す硬い言い方ですが、実は「一般的な傾向」や「社会の成り行き」といった意味もあって、意味が違うと読み方も変わります。aは「おおぜい」、bは「たいせい」と読みます。
aはすぐに読めたと思いますが、迷わずにbも読めた人、いますか?日本人でも読めない人はけっこういるはずです。
bの「たいせい」が読めた人、すごい!
いかがでしたか。
全問正解した人、いますか?
今回も最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。
実は、「同じ漢字で読み方が違う」例はまだまだあります。
近いうちに「第二弾」をお送りします。
お楽しみに!
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