現代文は「勉強しているつもりなのに、点数が毎回ブレる」「良い時は8割取れても、悪いときは5割以下になる」と、最も実力が安定しにくい科目です。
数学や英語のように“正答の基準”が明確ではなく、文章との相性やその日の集中力に左右されやすいことも原因のひとつです。
しかし、現代文の点数が安定しない人には、共通する特徴があります。そしてそれは、意識と勉強法を少し変えるだけで改善できます。
本記事では、
①点数が安定しない人の共通点
②原因別の改善方法
③具体的なトレーニング手順
を体系的に解説します。
1. 現代文の点数が安定しない人の共通点
現代文が苦手だと感じる人は「文章を読む力がない」と考えがちですが、実際には別の原因のほうが大きい場合が多いです。
◆① 読んだつもりで“理解していない”
多くの受験生は、文章を「読む」ことと「理解する」ことを混同しています。
文章を目で追っていても、筆者が何を主張しているか、なぜその主張に至るのかを明確に説明できなければ、それは理解できていません。
典型例は以下のとおり:
-
内容を他人に説明できない
-
一文一文は読めるが、話の流れがつかめない
-
“なんとなく”で読んでしまう
特に共通テストのようなスピード勝負の試験では、「理解できていない読み」はそのまま点数の乱れにつながります。
◆② 根拠ではなく“雰囲気”で選んでいる
現代文では、選択肢の判断を「本文の根拠」によって行う必要があります。しかし、点数が安定しない受験生ほど次のような傾向があります。
-
なんとなく正しそう
-
印象がいい
-
一部だけ合っていそう
この「雰囲気読み」が、毎回の点数のバラツキの最大の原因です。
◆③ 語句・論理語の知識が不足している
現代文は“国語”とはいっても、実際には語彙力が大きく得点を左右します。筆者の抽象的な主張を読み取るとき、語彙の理解が曖昧だと誤読につながりやすい。
特に重要なのが以下のタイプの語句です:
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抽象語(価値観や思考のキーワード)
-
論理語(理由・対比・因果を示す)
-
評価語(筆者の肯定/否定)
これらの知識が不足していると、文章の流れがつかめず、結果として点数も不安定になります。
◆④ 「自分の感覚」を文章に持ち込みすぎる
現代文は筆者の主張を読み取る科目です。
にもかかわらず、
-
「私はこう思う」
-
「この状況ならこうだろう」
と、自分の価値観で補ってしまう人は非常に多いです。
特に小説問題で、登場人物の心情を勝手に膨らませてしまうタイプは、点数のブレが大きくなります。
◆⑤ 解き直しの方法が間違っている
現代文で最も多い間違いが、「間違えた問題の解き直しが浅い」こと。
-
解説を読んで「なるほど」で終わる
-
正しい選択肢だけ確認して終わる
-
誤った選択肢の“どこがダメなのか”を検討しない
この学習法では、たとえ過去問を10年分やっても点数は安定しません。
2. 原因別の改善方法
では、ここからは上述した原因に対応した改善策を解説します。
◆① 読解の基礎:一文ずつ“要点”を押さえて読む
現代文の読解は、次の3ステップを守るだけで理解度が大きく上がります。
●①何について書かれているか
→「主語」と「テーマ」を必ず押さえる。
●②筆者がどう評価しているか
→肯定/否定の判断。
●③なぜそう言うのか
→理由・根拠を追う。
この3つを意識するだけで、“読み飛ばし”が激減します。
◆② 選択肢の判断は「本文の根拠」に限定する
安定した読解力を身につけるために最も重要なルールがこれです:
「本文に書かれていないことは絶対に選ばない」
誤答の多くは「本文にない推測」を含んでいます。
判断の際は、
-
本文と一致しているか
-
どの部分が根拠か
を必ず確認しましょう。
特に共通テストは選択肢の文章が長いため、「一部だけ合っている選択肢」に惑わされることが多いです。
◆③ 語彙力は“抽象語”を優先して伸ばす
現代文の語彙は、全てを覚える必要はありません。
優先すべきは以下の3種類:
●抽象語
「主体性」「普遍」「相対」「規範」「感性」「倫理」など
→筆者の思想の中心。
●論理語
「しかし」「ゆえに」「例えば」「つまり」
→文章の流れをつかむ最重要語。
●評価語
「望ましい」「危険だ」「不十分」「肯定的」
→筆者の主張の方向を示す。
これらを押さえると、文章全体が見通しやすくなり誤読が減ります。
◆④ 小説問題は「客観読み」を徹底する
小説問題で安定しない人は、次の意識が必須です。
-
感情移入しない
-
“行動”と“描写”から判断する
-
「思った」「感じた」などの心理語に線を引く
-
心情を膨らませない
特に共通テストの小説は、過剰な感情移入ではなく、
「文章上の根拠に基づいて人物の心理を推論する」
ことが問われます。
◆⑤ 解き直しは“分析型”で行う
現代文の復習は次の順番がもっとも効果的です。
●① なぜ正解が正しいのか
→本文のどこが根拠かを明確に指させる。
●② なぜ誤答が誤っているのか
→過剰一般化、部分一致、内容の追加、語尾の強調などをチェック。
●③ 筆者の主張の流れをメモにまとめる
→文章全体の構造理解が深まり、類似問題に強くなる。
この“誤答分析”をしない限り、現代文は永遠に点数が安定しません。
3. 【実践】現代文の点数を安定させるトレーニング3ステップ
点数を安定させるために、次の3つを日常的に行うのがおすすめです。
◆ステップ① 毎日15〜20分の短文読解
教科書レベルでも良いので、
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主張
-
理由
-
反論
を整理する練習をする。
「筆者の主張を書き出す」だけでも効果は絶大です。
◆ステップ② 過去問は“1年1セット”を丁寧に
共通テスト現代文は、
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大問1:評論
-
大問2:小説
2問しかありません。
だからこそ、適当に数をこなしても力はつきません。
1年分を1〜2時間かけて徹底的に分析するほうが何倍も伸びます。
◆ステップ③ 語句ノートで“抽象語”をストックする
現代文で繰り返し出てくる抽象語は、実は100語程度です。
-
自分で調べて意味を書く
-
例文を作る
-
文章で出てきたら線を引く
この積み重ねが、読解の安定につながります。
4. まとめ:現代文は「読み方の技術」で点数が安定する
現代文は「センス」ではなく「技術」で伸びる科目です。
そして点数が安定しない人は、次の特徴のどれかを持っています。
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文章を理解できていない
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根拠ではなく雰囲気で選んでいる
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語彙力が不足している
-
感情移入しすぎている
-
解き直しの方法が浅い
しかし、改善方法は明確で、誰でも再現できます。
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一文の要点をつかむ
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本文の根拠だけで判断する
-
抽象語の語彙を強化する
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小説は客観的に読む
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復習は誤答分析を徹底する
共通テスト現代文は、正しく学べば必ず安定します。
この記事で紹介した技術を取り入れ、日々の学習の中で“読み方の型”を磨いていくことで、波のない確実な得点力が身につくはずです。
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