共通テストの現代文は、「勉強しても伸びない」「センス次第」と誤解されがちですが、実際には早い段階から正しい積み重ねを行うほど得点が安定する科目です。特に共通テストは文章の長文化・情報量の増加・正確な取捨選択が求められるため、読解力も処理スピードも短期間では鍛えにくい部分があります。

では、現代文の勉強はいつから始めるのがベストなのか。
この記事では 高1・高2・高3の学年別に最適な対策スケジュール を提示し、さらに「今の学年から何をすべきか」が明確にわかるようにまとめました。

■現代文は「一夜漬け」が効かない科目である理由

現代文は暗記中心の科目ではなく、「読む技術」を育てるトレーニング型の科目です。
そのため、次の理由から早期スタートが圧倒的に有利です。

• 語彙力は一日・一週間では増えない

• 抽象的な文章の構造をつかむには反復が必要

• 読解の癖を直すのに時間がかかる

• 模試や過去問を通して得点パターンをつかむ必要がある

• 速読力は積み重ねでしか身につかない

特に共通テストは「情報処理能力」も問われるため、数学や英語と同じく長期的なスパンでのトレーニングが不可欠です。

■【高1】現代文の土台を作る時期

高1の段階で現代文に本気で取り組んでいる人は多くありません。しかし、ここから少しずつ積み上げるだけで高3の負担が大きく減り、模試でも安定して高得点が出るようになります。

●高1でやるべきこと①：語彙力の強化

現代文の語彙は、受験直前に覚えるのはほぼ不可能です。
特に評論で使われるキーワードは、知らない語が2つあるだけで内容理解が大きく阻害されます。

• 現代文キーワード集を1冊読破

• 気になる語彙をスマホにメモする習慣

• 学校の現代文の本文から語彙を抽出する

これだけで高2・高3の読解スピードが大きく向上します。

●高1でやるべきこと②：文章構造の把握練習

抽象度が高い評論でも、基本的な論理構造は次のルールで動きます。

• 筆者の主張（結論）

• 理由・根拠

• 例・比喩

• 反論への対応

• 具体⇒抽象、抽象⇒具体の流れ

学校の教科書の文章でよいので、段落ごとに「何を言っているか」をシンプルに説明できるようにしておきましょう。

●高1でやるべきこと③：速読練習の習慣化

共通テストの長文化を考えると、高1から…

• 毎日10〜15分、文章を読んでおく

• 新書・評論を月1冊読む

この習慣が大きな武器になります。

■【高2】共通テストを意識した読解力の強化期間

高2は現代文の実力が最も伸びる時期です。
まだ受験のプレッシャーが少なく、基礎を固める余裕があるため、高3とは比べものにならないほど定着が早いのが特徴です。

●高2でやるべきこと①：設問形式に慣れる

共通テストの現代文は次のような特徴があります。

• 選択肢が長い

• 紛らわしい選択肢が多い

• 正解の根拠が文章内に複数散らばっている

• 「言い換え」問題が多い

高2の段階では共通テスト形式の問題に慣れておくことが重要です。

マーク模試を使い、

• 制限時間に間に合わせる

• 選択肢の切り方を学ぶ

• 正解の根拠を必ず本文で確認する

これを繰り返すだけで得点は安定していきます。

●高2でやるべきこと②：要約力を鍛える

現代文の読解力＝要約力です。
文章を短くまとめる力は、共通テストでも私大の記述式でも威力を発揮します。

おすすめ練習は次の通り。

• 教科書の文章を200字で要約

• 模試の文章を全体の流れを3行にまとめる

• 「抽象化→具体化」を意識して整理する

これにより文章の全体像をつかむスピードが上がります。

●高2でやるべきこと③：選択肢の「罠」を見抜く練習

共通テストの選択肢は次のポイントで判断します。

• 本文に書かれて「いない」部分

• 強調しすぎている表現

• 要素Aだけ合っていて、Bがズレている

• 部分的に正しいが全体が不正解

高2のうちから「どこが間違いなのか」を説明するトレーニングをすると、高3で大きく伸びます。

■【高3】本番で点を取り切るための実戦強化

高3では、これまでの積み重ねを実戦で使いこなす段階に入ります。

●高3でやるべきこと①：過去問演習

高3の春〜夏で過去問に触れ始めるとよいでしょう。
ただし、最初から時間を測る必要はありません。

• 最初は丁寧に解いて「根拠の探し方」を確認

• 夏以降は時間を測って本番形式

• 間違えた問題は「なぜ誤答を選んだか」を分析

これを繰り返すことで、安定して8割以上が狙えるようになります。

●高3でやるべきこと②：文章処理スピードの最終調整

共通テストは文章量が多いため、確実に時間が足りなくなります。
そこで高3では「時間をかけずに骨格を掴む技術」が必要です。

• 各段落の役割を素早く把握

• キーワードを逃さず読む

• 例と主張を混同しない

• 設問の要求を先に確認する

特に「設問を先に読む」だけで、読解は格段に効率化します。

●高3でやるべきこと③：苦手分野の集中補強

共通テスト現代文では、

• 抽象的な評論

• 比喩の多い随筆

• 人物関係が複雑な小説

など得意・不得意が大きく分かれます。

高3の夏までには弱点を把握し、同じタイプの文章を優先的に練習しましょう。

■学年別まとめ：結局いつ始めるべき？

●高1

語彙・文章構造・速読の基礎づくり
→「読める土台」を作る時期

●高2

共通テスト形式に慣れ、選択肢の処理力を鍛える
→「得点力」につながる時期

●高3

実戦練習・過去問・時間管理
→「安定して点を取る力」を仕上げる時期

結論として、共通テスト現代文は 高1から軽く始め、高2で本格化し、高3で仕上げる という流れが理想です。

■最後に：現代文は「読む技術」で点が伸びる科目

現代文はセンスではなく技術で伸ばすことができます。
特に共通テストは文章量が多いため、長期的なトレーニングがものを言います。

• 毎日少しでも文章を読む

• 語彙をコツコツ増やす

• 問題を解いたら本文に根拠を戻る

これだけで、半年〜1年で劇的に結果が変わります。

あなたがどの学年であっても「今この瞬間から始める」のがベストタイミングです。
早めの対策が共通テスト現代文の高得点につながります。