ニュースなどでよく使われる「遠まわし表現」=ペリフラーズ(périphrases)

Kaoru77

フランス語で文章を書くとき、気をつけたいことの一つに「同じ単語を繰り返さない」というルールがあります。

たとえば、日本語では「マリーはパリに引っ越しました。マリーはパリが大好きです。」と書いても特に問題ありませんよね。

でも、フランス語では同じ単語をくり返すのは避けるべきとされています。



フランス人なら、こう言い換えるかもしれません。

Marie a déménagé à Paris. Elle aime beaucoup la capitale.
(マリーはパリに引っ越しました。彼女はこの“首都”が大好きです。)


このように、同じ言葉を繰り返さず、別の言い方で表現することをフランス語では périphrase(ペリフラーズ) と呼びます。

英語や日本語でも似たような工夫をすることはありますが、フランス語では特に大切。

文章の中で同じ単語を何度も使うと、文法的に「間違い」と見なされてしまうこともあるんです。
そのため、作家やジャーナリストたちは、繰り返しを避けるために少し詩的で遠回しな表現を好んで使います。

 

話すときは?

日常会話では、そんなに神経質になる必要はありません。
話すときは、言いたいことをスムーズに伝えるほうが大事です。

ただし、文章を書くとき──特に試験や論文、ニュース記事などでは、ペリフラーズが非常に重要になります。

たとえば、DALF試験のような上級レベルの作文では、
ペリフラーズを1つか2つ入れるだけで、表現力の評価がぐっと上がりますよ。

 

では、実際に見てみましょう!

ニュースやメディアでよく使われるペリフラーズを、クイズ形式で紹介しますね。

 

スポーツ編

どのスポーツのことでしょう?

« le ballon rond(丸いボール) »

そう、サッカー(le football)です!

たとえば

la star du ballon rond = 「有名なサッカー選手」という意味になります。

 

都市編

次の表現がどの都市を指しているか、当ててみてください!

la capitale des Gaules(ガリアの首都)
la ville lumière(光の都)
la ville rose(ピンクの街)
la cité phocéenne(フォカイア人の街)
la cité des Papes(教皇の街)


答えは順に:

リヨン、パリ、トゥールーズ、マルセイユ、アヴィニョンです。

それぞれの由来も面白いですよ。

たとえば、la ville rose(トゥールーズ)は、建物がピンク色のレンガでできていることから。
la cité phocéenne(マルセイユ)は、古代ギリシャ人フォカイア人の入植に由来しています。


 島のペリフラーズ

« l’île de beauté(美しき島) » これはコルシカ島のこと。
ナポレオンの出身地としても有名ですよね。

 

 国のペリフラーズ

ニュースで頻出するのが、「outre〜」という言い方です。
「outre」は「〜の向こうに」という意味。

outre-Manche(英仏海峡の向こう):イギリス
outre-Rhin(ライン川の向こう): ドイツ
outre-Atlantique(大西洋の向こう): アメリカ


ほかにも文化的な呼び名があります。

le pays du fromage チーズの国 : フランス
l’Empire du Milieu 真ん中の帝国 : 中国
le pays de l’Oncle Sam アンクル・サムの国 : アメリカ le pays du Soleil levant 日出ずる国 日本 la perfide Albion 裏切りのアルビオン : イギリス

 

人物・職業に関する表現

le beau sexe : 女性
le chef de l’État : 大統領
le garde des Sceaux : 法務大臣(フランスのみ)
les forces de l’ordre : 警察・憲兵
les soldats du feu : 消防士

たとえばニュースで

« Le chef de l’État s’est rendu à Marseille. »
と聞いたら、「大統領がマルセイユを訪れた」という意味です。

 

政府・機関に関する表現

Bercy : 経済省
Matignon : 首相官邸
l’Élysée : 大統領官邸
le Quai d’Orsay : 外務省

ニュースでは、

« Matignon a annoncé une nouvelle mesure. »
といえば「首相官邸が新しい政策を発表した」という意味になります。


フランス語では、同じ単語を繰り返すことを嫌う代わりに、豊かな言い回しを生み出してきました。


それは、単なる言葉遊びではなく、フランス語という言語への誇りと美意識の表れです。
少し難しく感じるかもしれませんが、
ペリフラーズを知ることは、フランス語だけでなくフランス文化を理解する近道でもあります。


次にニュースや新聞を読むとき、ぜひ「これは何を指しているんだろう?」と意識してみてくださいね。
きっと、フランス語の奥深さを感じる瞬間があるはずです。

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