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ジェーン・グドールさんのレガシー

Shibashiba

ジェーン・グドールさんが10月1日に91歳で亡くなり、英語圏のSNSはRIP(Rest in Peace 安らかに)という文字で溢れました。

「今日私たちは、この惑星のための真のヒーローをひとり失った」
Today we have lost a true hero for the planet
という言葉を寄せたのは野生動物保護に熱心な俳優のレオナルド・デカプリオさん。

ジェーン・グドール。
ロンドン生まれ。子どもの頃から動物大好きで、アフリカに行くことを夢見ていた少女。
人類学者ルイス・リーキー博士の秘書となり、ジャングルのチンパンジーと暮らした女性。
正規の大学教育を受けていなかったために、学会から冷遇された研究者(牧野富太郎みたい)
リーキー博士の勧めで学士号を取らないまま博士号を取得。
アメリカやアフリカの大学で教え、尊敬を集めた教授。
国連平和大使。
亡くなる直前まで環境保護のために世界を飛び回っていた活動家。

今年の9月末、ニューヨークでの環境週間でも講演を行ったばかりでした。

私たちが義務教育で習ったことが覆された

昭和生まれの私たちは、他の動物と異なる人類の特性として以下の三つがあると中学校で教わっていました。

・火の使用
・言語の使用
・道具の使用
(これは定期テストにも出ました!)

ところがジェーン・グドールさんは、チンパンジーが草の茎を使い、それを道具としてアリを捕っているところを「発見」してしまったのです!

実は私が中学生だった頃には、この発見はすでに行われていたはず。
しかし、新しい発見が義務教育の現場に届くまでにはかなり時間がかかるものです。

いずれにしても、教科書に載っていた科学的事実が、自分が生きている間に現在進行形で覆されるというのはなかなかエキサイティングな体験でした。しかもそれは、遠く離れた星のことではなく、人類の隣にいるチンパンジーの話なのです。

チンパンジーの母親とヒトの母親

個人的に最も印象に残っている彼女の姿は、ずっと前にテレビで見たドキュメンタリー・フィルム。
彼女はまだ若く、幼い息子さんと一緒にアフリカの水辺にいます。息子さんは水の中でぱちゃぱちゃ遊んでいます。そのすぐ近くでチンパンジーの子どもも泳いでいます。岸辺に座っているジェーンさんの隣には、チンパンジーの母親も座っています。
そして、ヒトの母親とサルの母親が、顔を合わせて微笑む…
まるで親同士、公園で子どもたちを遊ばせているときにおしゃべりするみたいに。

今思うと、映像作家だった最初のご主人が撮影したものかもしれませんね。

ジェーン、フォーエバー

霊長類の研究、自然保護、一般の人々への教育活動とあまりにも大きな彼女のレガシー。まるで巨木のように、これからも根を張り、育ち続けるのだろうと思わせられます。

で、実は彼女が一番好きな動物って、チンパンジーではないそうです。チンパンジーは人間と同じで、やさしいのもいれば意地悪なのもいると語っています。

動物として一番好きなのは、、、



犬だとか。

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