小論文は、高校受験・大学受験の中でも「正解が一つではない」「勉強法がよくわからない」と感じられがちな科目です。実際、多くの生徒が「何を書いていいかわからない」「語彙が貧弱で内容が薄くなる」「型にはめても説得力が出ない」など、様々な壁に直面します。
しかし、小論文に求められている力は決して特別なものではありません。語彙力・思考力・表現力という3つの柱を意識し、それぞれをバランスよく鍛えることで、誰でも安定して点数を取れるようになります。
この記事では、小論文で合格点を取るために必要な3つの力と、それらを養うための具体的な方法を解説します。高校生の皆さんはもちろん、保護者の方にも、お子さんの学習支援に活かしていただける内容です。
小論文に必要な3つの力とは?
1. 語彙力:正確な語で伝える力
語彙力とは、知っている言葉の数だけでなく、「適切な場面で、正確な意味をもって使いこなせる言葉の力」です。小論文では特に、抽象語や社会的キーワードを正確に使えるかどうかが得点に直結します。
たとえば、「格差社会」「多様性」「主体的」「持続可能」といった用語は、時事・社会問題を扱う小論文で頻出です。これらを意味もわからず使うと、「中身が空っぽな文章」になります。
2. 思考力:問いに対して筋道立てて考える力
小論文は、ただ知識を披露する場ではありません。出題者の問いに対して、「なぜそう思うのか」「どうしてその問題が起きるのか」「どんな解決策があるのか」といった論理的な思考のプロセスが評価されます。
つまり、小論文では自分の意見を持ち、それを理由づけし、相手に納得させるために論を構築する力が問われているのです。
3. 表現力:わかりやすく、説得力のある文章を書く力
語彙や考えをどれだけ持っていても、それを「相手に伝える」力がなければ評価されません。小論文では、一文の長さ、語順、接続詞の使い方、段落の構成といった要素すべてが、文章のわかりやすさを左右します。
特に、「言いたいことは分かるが、文章がわかりにくい」「論理の飛躍がある」「主語と述語が対応していない」といった文章は大きな減点対象になります。
各力をどう育てる?具体的なトレーニング法
【語彙力を鍛える】:語彙リストと“使って覚える”トレーニング
■ 方法①:小論文キーワード帳を活用
小論文対策用のキーワード集(書籍や資料)を使って、政治・経済・教育・環境などの主要テーマの語句をリストアップしましょう。
毎日5語ずつ確認し、自分でその語を使って短い文を書いてみると、理解と定着が深まります。
■ 方法②:「言い換え」練習で表現力も一緒に育てる
難しい語を別の言葉で言い換える練習も効果的です。
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例:「少子化」→「子どもの数が減っている」
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例:「持続可能」→「長く続けていける」
こうしたトレーニングは、語彙と表現力の両方を高めることができます。
【思考力を鍛える】:“問いに答える”習慣をつける
■ 方法①:5W1H+Whyのメモトレ
新聞記事やコラム、時事ニュースを見たら、以下の観点で自分なりの意見を持つ習慣をつけましょう。
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何が起きたのか(What)
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誰が関わっているか(Who)
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なぜそれが問題なのか(Why)
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どうすればいいか(How)
短くてもいいので、自分の意見を書いてみることで、考える習慣=思考力の筋トレになります。
■ 方法②:設問練習で論理的思考を育てる
小論文の練習問題を解く際は、「問いの型」に注目しましょう。
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○○についてあなたの考えを述べよ(自分の立場を明確に)
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賛成か反対かを理由を添えて述べよ(二者択一+根拠)
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課題とその解決策を挙げよ(問題発見型)
それぞれの型に対応する構成パターンを覚えれば、迷わず論理を展開できるようになります。
【表現力を鍛える】:構成練習+音読+添削
■ 方法①:型で書く練習をする
文章がうまく書けない生徒の多くは、「何から書けばよいかがわからない」ことが原因です。まずは**王道の構成型(序論・本論・結論)**を身につけましょう。
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序論:問題提起・テーマ提示
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本論:自分の意見+理由や具体例
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結論:意見のまとめ・提案など
この基本型で短文を書くだけでも表現力は磨かれます。
■ 方法②:音読してチェックする
自分が書いた文章は声に出して読んでみることを習慣にしましょう。
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読みにくいところは論理が飛躍している証拠
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口がもつれる箇所は表現が不自然
音読で「読み手の気持ちになる」ことが、伝わる文章づくりの第一歩です。
■ 方法③:添削を受ける
小論文は第三者の目で見てもらうことで飛躍的に伸びます。学校の先生や家庭教師に添削を依頼し、自分のミスや癖を客観的に把握しましょう。
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接続のミス
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語尾の曖昧さ
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根拠不足の指摘 など
添削結果をノートにまとめ、改善点を「見える化」することで、次の文章にすぐに活かせます。
保護者の方へ:日常会話でできる支援
小論文対策においては、保護者の方のサポートが大きな力になります。家庭でできる支援の一例をご紹介します。
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時事ニュースについて子どもと意見交換をする
→「あなたはどう思う?」「なぜそう考える?」と聞くだけで思考力が刺激されます。 -
子どもの文章を一緒に音読してみる
→「ここ、少しわかりづらいかも」と指摘するだけで表現力の意識が育ちます。 -
語彙カードを使ってクイズ形式で遊ぶ
→ゲーム感覚で語彙の定着が進みます。
まとめ:語彙・思考・表現の3本柱で、小論文は必ず伸びる
小論文で安定した得点を取るために必要なのは、次の3つの力です。
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語彙力:使える言葉を増やし、的確に伝える力
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思考力:問いに対して自分なりの考えを持ち、筋道立てて展開する力
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表現力:読み手に伝わる形でわかりやすく文章化する力
どれも一朝一夕では身につきませんが、日々のトレーニングとフィードバックを繰り返せば、確実に伸ばすことができます。
特に、「書いてみる→読んでみる→直してみる」というサイクルを日常に取り入れることが、小論文力を飛躍的に高める秘訣です。
受験は「知識」だけでなく、「思考力と表現力」の勝負でもあります。だからこそ、小論文は将来の実力を養う良い機会です。この記事をきっかけに、今からできる一歩を踏み出してみてください。
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