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【小論文】小論文の基本構成:序論・本論・結論とはを引き立てるコツ

AZUKI

大学受験で求められる力の一つに、小論文があります。特に推薦入試や総合型選抜(旧AO入試)では、受験生の「考える力」「伝える力」が問われます。その中で最も基本であり、かつ重要なのが、「序論・本論・結論」の三段構成です。

この構成は一見シンプルに見えますが、実際には多くの受験生が「なんとなく」で書いてしまい、論理の飛躍や説得力のない文章になりがちです。この記事では、小論文の基本構成である「序論・本論・結論」を効果的に引き立て、読み手に伝わる論文を書くためのコツを詳しく解説していきます。


1. なぜ「序論・本論・結論」の構成が大切なのか?

小論文は、ただの作文とは異なり、論理的な思考と構成力が求められます。特に大学入試の小論文では、以下のような力が見られています。

  • 問題提起に対する自分の立場を明確にする力(序論)

  • 根拠や具体例を示しながら論理を展開する力(本論)

  • 論点をまとめて結論づける力(結論)

この流れに沿って書くことで、読み手にとってわかりやすく、説得力のある文章になります。

✅重要ポイント
「構成が整っている小論文」は、それだけで読みやすく、評価が高くなる傾向があります。


2. 序論:自分の立場を明確にしよう

【目的】

序論では「問題提起」と「自分の立場(主張)」を明確に述べることが求められます。

【書き方のコツ】

  • テーマを一度客観的に整理する
    例:「近年、SNSによる誹謗中傷が社会問題となっている。」

  • その問題に対する自分の立場をはっきりと述べる
    例:「私はSNSの匿名性には一定の意義があるが、投稿内容には責任が伴うべきだと考える。」

このように、序論では**「問題+意見」**という構成で書くと読み手が論点を理解しやすくなります。

【NG例】

  • 意見が曖昧:「私はどちらの立場も理解できると思う。」

  • 結論が出ていない:「考えていきたいと思います。」

これでは、読み手は「この人は何を言いたいのか?」と戸惑ってしまいます。


3. 本論:根拠と具体例で論理を構築する

【目的】

本論では、自分の立場を裏付けるための根拠や具体的事例を用いて論を展開します。

【書き方のコツ】

  • 根拠は最低2つ用意するのが理想

    • 「論理的根拠」:一般論や統計、制度など

    • 「具体的事例」:ニュース、歴史、個人の経験など

例:

  • 「まず第一に、インターネット上の匿名性が、社会的弱者の声を可視化するという点で重要である。」

  • 「例えば、#MeToo運動は、匿名性を利用して多くの人々が声を上げたことにより、社会的な変化を生んだ。」

  • 対立意見に触れると説得力アップ
    「一方で、匿名による誹謗中傷が深刻な被害を生むという指摘もある。確かにそれは無視できない事実である。」

  • それに対してどう考えるかを述べる
    「しかし、これは匿名性自体が問題なのではなく、使い方の問題だと考える。」

このように、反論→再反論の形を取ることで、読者に「なるほど」と思わせる説得力が生まれます。


4. 結論:主張を再確認し、読者の印象に残す

【目的】

論のまとめとして、自分の立場を再確認し、読み手に印象を残すことです。

【書き方のコツ】

  • 自分の主張を簡潔にもう一度伝える
    例:「以上の理由から、SNSの匿名性は維持すべきだが、投稿内容には一定のルールと責任が必要である。」

  • 未来への提案や希望を加えるとさらに良い
    例:「今後は、表現の自由を守りながらも、誹謗中傷を抑止するための社会的仕組みづくりが求められる。」

【NG例】

  • 序論の繰り返しだけ:「私は最初に述べたようにこう考えます。」(まとめになっていない)

  • 突然新しい話題を出す:「ちなみに、私はSNSを使っていない。」(蛇足)


5. 構成を“引き立てる”3つの技術

基本構成が理解できたら、次はそれを引き立てる工夫です。以下の3つを意識するだけで、文章の完成度が格段に上がります。

① 接続語を使いこなす

論理をスムーズに展開するために、接続語は必須です。

  • 追加:「さらに」「また」「加えて」

  • 対比:「しかし」「一方で」「それに対して」

  • 結論:「以上より」「したがって」「ゆえに」

✅小論文では、“なんとなくつながっている”文章ではなく、“はっきりと論理が見える”文章が求められます。

② 文末表現を統一する

  • 「〜である」「〜と考える」など、文末を揃えることで論文らしさが出ます。

  • 「〜と思います」「〜じゃないかな」は避けるようにしましょう。

③ 語彙と表現に注意する

  • 「やばい」「すごい」「普通に」「微妙」などの口語は避ける

  • 同じ言葉の繰り返しを避け、言い換え表現を使う(例:「問題」→「課題」「障害」「テーマ」)


6. よくある失敗とその対策

● 失敗①:構成のバランスが悪い

→【対策】序論:本論:結論=1:2:1 の配分を意識

● 失敗②:本論がただの感想になっている

→【対策】「なぜそう考えるか?」を常に意識し、根拠や事例を挙げる

● 失敗③:結論が突然終わる

→【対策】結論では「主張の再確認+未来への提案」の型を使う


7. 練習法と添削の活用

小論文は「書いて→直して→書き直す」の反復が最も効果的です。

  • 週に1本書いてみる

  • 自分で構成メモを作ってから書く

  • 添削指導を受け、フィードバックをもとに改善する

✅保護者の方へ:
お子様が小論文の練習をしている際には、「どんな主張をしているの?」「なぜそう考えたの?」など、内容に関心を持って聞くことが大きな励みになります。


まとめ:構成力こそが小論文の土台

小論文は、「文章力」や「語彙力」よりもまず構成力=考えを整理する力が土台となります。「序論・本論・結論」の三段構成を軸に、説得力のある主張を組み立てていきましょう。

最後に、今回紹介した“引き立てるコツ”をおさらいします。

  • 問題提起と自分の立場を明確に(序論)

  • 根拠と具体例で論理を展開(本論)

  • 主張を再確認+未来への提案(結論)

  • 接続語、文末表現、語彙の使い方に注意

  • 書いて・添削して・改善する練習を繰り返す

この基本と工夫を押さえることで、どんなテーマにも対応できる「伝わる小論文」が書けるようになります。ぜひ、実際に手を動かして練習してみてください。

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The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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