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【大学入試漢文】現代語と意味が違う漢字・語句まとめ

AZUKI

 
「漢文は漢字ばかりだから、なんとなく意味が推測できる」 「日本語の知識があるから、漢文はノー対策でもいけるはず」
 
そう考えている受験生こそ、試験本番で最も危険な罠に陥ります。漢文が日本語のルーツの一つであることは間違いありませんが、千年以上前の中国で使われていた漢字の意味と、現在の私たちが使っている日本語の意味が同じであるとは限りません。
 
むしろ、入試問題において作問者が最も狙ってくるのは、「現代語の感覚で読むと、正反対の意味に取れてしまう漢字」です。
 
この記事では、大学入試漢文で頻出の「現代語と意味がズレている重要漢字」を網羅的に解説します。これを知っているだけで、読解の「致命的な誤読」を防ぎ、得点源へと変えることができます。
 
1. なぜ「現代語の知識」が漢文では命取りになるのか
漢文の文章を読んでいると、私たちの知っている熟語や単語が頻繁に登場します。しかし、それらを現代語のニュアンスで解釈してしまうと、ストーリーの因果関係が全く見えなくなることがあります。
 
意味の「ズレ」が誤読を生む
例えば、「迷惑」という言葉。現代日本語では「困らされること」を指しますが、漢文(古文も同様)では「道に迷う」「心が乱れる」という意味で使われます。 「王、迷惑す」という一文を「王が誰かに迷惑をかけられて困っている」と訳しては、その後の王の決断や行動を正しく理解することはできません。
 
入試は「騙されやすいポイント」を突く
入試問題の選択肢は、現代語の意味に引きずられた受験生をあぶり出すように作られています。逆に言えば、こうした「ズレ」を知っているだけで、他の受験生に大きな差をつけることができるのです。
 
2. 【最重要】現代語と意味が異なる頻出漢字リスト
入試で特に狙われやすい、要注意の漢字をカテゴリー別に整理しました。
 
① 人間関係・感情を表す漢字
「愛す(あいす)」
 
現代語:慈しむ、好き。
 
漢文:惜しむ(もったいないと思う)。
 
ポイント:王が宝物を「愛す」とあれば、それは「大切に所有して、手放すのを惜しんでいる」という意味です。
 
「謝す(しゃす)」
 
現代語:謝る、感謝する。
 
漢文:お礼を言う、断る、辞職する。
 
ポイント:単なる「ごめんなさい」ではなく、やり取りの末の「お暇(いとま)乞い」に近いニュアンスで使われることが多いです。
 
「憐む(あはれむ)」
 
現代語:かわいそうに思う。
 
漢文:可愛がる、愛でる、称賛する。
 
ポイント:必ずしも「マイナス」の感情ではなく、「素晴らしい」と認めるポジティブな文脈でも登場します。
 
② 状態・性質を表す漢字
「大丈夫(だいぢょうぶ)」
 
現代語:問題ない、安心だ。
 
漢文:立派な男、一人前の男子。
 
ポイント:「丈夫」という言葉自体が「男性」を指します。「大丈夫」は、志が高く勇敢な、理想的な男性像を指す言葉です。
 
「遠慮(えんりょ)」
 
現代語:控えめにする、辞退する。
 
漢文:遠い将来まで見通した深い考え。
 
ポイント:「遠きおもんば(慮)かり」と訓読します。これが欠けていると失敗する、という文脈で頻出します。
 
「奇怪(きかい)」
 
現代語:あやしい、不気味だ。
 
漢文:非常に優れている、驚くほど立派だ。
 
ポイント:現代ではネガティブですが、漢文では「並外れていて素晴らしい」というポジティブな驚きを表すことがあります。
 
③ 動作・状況を表す漢字
「是非(ぜひ)」
 
現代語:どうしても、ぜひとも(願望)。
 
漢文:正しいことと間違っていること。
 
ポイント:「是非を正す」のように、善悪の判断を巡る議論で使われます。
 
「経済(けいざい)」
 
現代語:お金のやり取り、財政。
 
漢文:世の中を治め、民を救うこと(経世済民)。
 
ポイント:政治の理想を語る際に出てくる非常にスケールの大きな言葉です。
 
3. 文脈から意味を確定させるための思考プロセス
単語を暗記するだけでなく、実際の文章でどう判断すべきかの手順を身につけましょう。
 
ステップ1:日本語の意味で読んでみて「違和感」を探す
まずは自分の知っている意味で読んでみます。しかし、もしその一文だけが物語の中で浮いていたり、前後の文脈と矛盾したりする場合は、「ズレ」を疑うサインです。
 
ステップ2:主語と目的語の関係を見る
例えば「謝」という字。目下の者が目上の者に対して「謝」しているなら「謝罪」の可能性がありますが、王が使者に対して「謝」しているなら「断り」や「労(ねぎら)い」かもしれません。登場人物の地位を確認することが重要です。
 
ステップ3:対句(ついく)の法則を使う
漢文は左右で対になる文章を好みます。「Aを愛し、Bを軽んず」という文があれば、「軽んず」の対義語として「愛す」が「重んじる・大切にする」という意味であることが自動的に導き出せます。
 
4. 保護者の方へ:漢文は「言葉のルーツ探訪」です
お子様が「漢字ばかりでつまらない」と言っているときは、ぜひ「言葉の語源」の話をしてあげてください。
 
保護者の方にできるサポートは、「昔の人は、この漢字をこういう意味で使っていたんだって」と一緒に驚いてあげることです。 「大丈夫」が「立派な男」という意味だったことを知ると、お子様の目には、漢字がただの記号ではなく、当時の人々の価値観が詰まった「カプセル」のように映るはずです。知的好奇心を刺激することが、単なる暗記を「忘れられない知識」へと変える魔法になります。
 
5. まとめ:漢字の「本当の顔」を知れば漢文は解ける
漢文の語彙対策は、単なる「暗記量」の勝負ではありません。
 
現代語の意味をそのまま当てはめず、常に「ズレ」を警戒する。
 
「愛・謝・遠慮・大丈夫」など、特に出やすい要注意語を整理する。
 
文脈や対句の構造から、その場にふさわしい意味を論理的に選ぶ。
 
漢字の「本当の顔」が見えるようになると、漢文の文章は驚くほど論理的で、メッセージ性の強いものに変わります。共通テストや二次試験の選択肢に惑わされないための「眼」を、日々の演習の中で養っていきましょう。

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The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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