ー第3章ー
アカブリ!アカブラス!アカブラム!
山の上を飛ばさせて!
その言葉を言った途端カヌーが浮き始めるのを感じた。150だか200メートルぐらい空に上がった。自分が羽のように軽くなった気がした。バティストの指示に従って、悪霊に取りつかれたかのように漕ぎ始めた。櫓を少し動かしただけでカヌーは矢のように空を渡った。まさに、サタンに運ばれていた。クズリの帽子の毛皮が流される程の息もできないスピードだった。
風より早く飛んでいた。旅の最初の15分は森の上の空を進み、下に黒松しか見えなかった。とても素敵な夜だった。満月は真昼の太陽のように夜空を照らしていた。至極寒かったのに(髭は霜で固まっていた)汗でびしょびしょだった。サタンの力で素早く移動していたので、当たり前のことだった。そのうち林の間に空き地が見えてきた。凍ったガティノー川の水面は磨き上げた鏡のように輝いていた。少しずつ明かりの灯った家が見えてきた。その後、モントリオールのシャン・ド・マルス練兵場の兵隊の銃剣のように光る鐘楼も見えてきた。電車に乗っている時に電信柱を過ぎるようにそれらが早く過ぎていった。悪魔のスピードで村や森や川を素早く過ぎて、カヌーの後ろに火花の尾を残していた。道をよくわかっていたので、悪霊に取りつかれたバティストが操縦していた。まもなく、ウタウエ川について、川を道標にしてドゥー・モンターニュ湖にたどり着いた。
「ちょっと待て!」とバティストが叫んだ。「これからモントリオールに近づく。この遅い時間に外にいる遊び人を怖がらせよう!ジョー!前に座ってるお前!歌え!咳払いをしてな!」
確かに、都会の数えきれない光が見えていた。バティストが一回櫓を動かしただけで、カヌーはモントリオール・ノートルダム聖堂の塔の高さぐらいにまで下がった。飲み込まないように、噛みタバコを口から外してから、次の曲を大声で歌い始めた。仲間も同じように繰り返した。
私は父の唯一の娘だった
これから空を飛ぶ樹皮カヌー
海の上まで私を運ぶ
空を飛ぶ、空を飛ぶ樹皮カヌー
これから空を飛ぶ樹皮カヌー!
海の上まで私を運ぶ
これから空を飛ぶ樹皮カヌー
操縦していた水夫は
空を飛ぶ、空を飛ぶ樹皮カヌー
これから空を飛ぶ樹皮カヌー!
操縦していた水夫は
これから空を飛ぶ樹皮カヌー
お嬢さんキスしてと私に
空を飛ぶ、空を飛ぶ樹皮カヌー
これから空を飛ぶ樹皮カヌー!
お嬢さんキスしてと私に
これから空を飛ぶ樹皮カヌー
いいえ、水夫さん、それはちょっと
空を飛ぶ、空を飛ぶ樹皮カヌー
これから空を飛ぶ樹皮カヌー!
いいえ、水夫さん、それはちょっと
これから空を飛ぶ樹皮カヌー
もしパパにバレたなら
空を飛ぶ、空を飛ぶ樹皮カヌー
これから空を飛ぶ樹皮カヌー!
もしパパにバレたなら
これから空を飛ぶ樹皮カヌー
間違いなく私を叩く
空を飛ぶ、空を飛ぶ樹皮カヌー
これから空を飛ぶ樹皮カヌー!
深夜の2時近くだったのに、いくつかのグループは俺たちを見上げるように道で足を止めた。あまりにも早いスピードで飛んでいたから、 あっという間にモントリオールとその郊外を過ぎていた。その頃は鐘楼を数え始めた。ロングー・ポイント、ポイント・オー・トレンブル、ルパンティニー、セーン・スルピス、そして、やっとラヴァルトリ領域の緑色の大松の頂上を越える二つの銀色の塔が見えてきた。
「お前ら! 聞け!」とバティストが叫んだ。「林の入り口にある俺の名親のジャンジャン・ガブリエルの土地に着陸する。村のダンスや飲み会に参加してい友達を歩いてびっくりさせに行くんだ。」
全てはバティストの言葉通りに動いた。5分後、カヌーはジャンジャン・ガブリエルの林の入り口の雪の吹きだまりの上に止まっていた。列になって、8人で村へ向かい始めた。簡単なことではなかった!踏み慣らされた小道がなかった上に、雪は股上まで積もっていた。恥知らずのバティストは明かりがまだ灯されていた名親の家のドアをノックしたが女性の農場労働者が出た。彼女によると、年寄りたちはロビヤー爺のところで宴会をしていたが若い男女はほとんどみんなコントレコーアーの南にあるプチット・ミゼルのバティセット・オージェーの家で大晦日の舞踏会に出ているとのことだった。
「バティセット・オージェーのダンスに出よう」バティストが言った。「そこへ行ったら、きっと俺らの彼女たちと会えるだろう。」
「バティセットのとこへ行こう!」と俺らが口々に答えた。
カヌーに戻る間に、お互いに旅のルールを思い出させて、お互い注意しあった。なぜなら、木こり場に6時までに戻る必要があるからだった。でないと、サタンに連れられて、地獄に落ち、永遠に苦しむことになっていた。
アカブリ!アカブラス!アカブラム!
山の上を飛ばさせて!
とバティストが新たに叫んだ。その言葉で、背教者の俺たちは空を進んでプチット・ミゼルへ向かっていた。たった2回漕ぐだけで、川の向こうにあった彩飾されたバティセット・オージェーの家に着いた。外から、バイオリンの音と、霜で覆われた窓から影で見えていた踊っている人達の笑い声がかすかに聞こえていた。氷の動きの影響で川の岸に凍った土の塊が多かった。
その裏にカヌーを隠した。
「お前ら、これからは気をつけるんだ。」とバティストが繰り返した。「いうことに注意する。よく聞け!好きなだけ踊っていいけどモールソン*やラムは一滴も口にするな。帰る合図を見たら、すぐにおれについてこい。誰にも気づかれないように帰るんだ。」
最後の注意を聞いてから、ドアをノックをした。
*モールソン:カナダのビールメーカー
ー第4章ー
バティセット爺本人がドアを開けた。主に知り合いだった参加者に大歓迎された。最初は質問に襲われた。
「どこから来たの?」
「木こり場にいると思ってた!」
「随分遅く来たね!」
「少しは飲めよ!」
皆は、その夜も一度、バティストに救われた。
「まずはコートを脱いで踊らせてください。そのために来たから。みんなの質問には明日全て答えるよ。知りたいことは全部おしえる。」
俺はもう、ラノレのガキのボアジョリに口説かされていたリザ・ギムベットを目にしていた。
挨拶するためと次のダンスの相手になってくれないかと聞くために彼女に近づいた。リザは笑顔で承知した。その笑顔は彼女と一緒に数時間踊るために霊魂の救済をかけたのを忘れさせた。次の2時間は次々とダンスが続いた。自慢話じゃないが、当時、どんな踊りでも俺は誰にも負けなかった。仲間もパーティを満喫していた。4時になった頃、現地の男は俺たちに飽きていたと言えるぐらいだった。バティスト・ヅランはバフェーのテーブルを囲んで白いウィスキーを飲んでる男達に何回か近づくのを見かけた気がしたけどあまりにも彼女と楽しい時間を過ごしていたから気にしなかった。でも帰る時間が来た時、バティストは分かりやすく結構よっていた。他の踊っている人達に見えないように、慎重に仲間に帰りの準備の合図をしてから、バティストの腕を掴んで彼を外に連れ出した。俺らは野蛮人のように、誰にも挨拶をせずに何もなかったかのように、1人つづ外に出て舞踏会をさった。5分後はカヌーに乗っていた。リザに別れの挨拶をしなかったことは彼女がガキのボアジョリと結婚する(俺を招待せずに!)きっかけになったと今でも思っている。
カヌーの話に戻ると、俺らはバティストが 酔っていることに結構困っていた。操縦者は彼だったし、元旦に休んでいる木こりの奴らが起き出す前しかない帰る時間はギリギリだったし… 月はもう沈んでいたことで、空は前より暗かった。カヌーの前に座って、ゆく道をちゃんと見て決めたが、正直いうと、心配だった。飛ぶ前に、後ろにいたバティストにこう言った:
「なあ、集中してくれよ。モントリオールの山を目にしたら、すぐまっすぐにいけ。」
「わかってるよ。」とバティストが返した。「でしゃばるな。」
俺が返事する間もなく、彼が言い出した。
アカブリ!アカブラス!アカブラム!
山の上を飛ばさせて!
つづく
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