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介護疲れを貯めないために

Shibashiba

介護サービスを使わない人々

先日近所の商店街で、どこかで見た顔に出会いました…数秒後に、それは母がデイサービスでお世話になっている介護士の男性だと気づきました。その日は仕事がお休みだそうで服装がいつもと違い、顔つきまで少し違って見え、一瞬どなたかわかりませんでした。

「お母様は普段どんな様子ですか?」と聞かれ、彼にとってオフの日なのに時間をもらって申し訳ないなと思いつつ、少し立ち話させてもらいました。
ちなみに母は現在、要介護2と認定されています。

「母はデイサービスに行くようになってからよく眠れるようになり、食欲もあり、前より機嫌がよくなりましたよ」と感謝をお伝えしました。

すると、「都市部でもいまだに家族の認知症を恥じ、自分たちだけで介護・見守りをしている人たちも多いんですよ」と聞かされました。正直なところ、驚愕しました。本人が行きたがらないなど、ほかの理由なら話はわかりますが。
そして、ニュースで報道された痛ましい事件の数々を思い出してしまいました。

施設に入る直前に起きた事件

しかし、今週裁判があった老々介護の末の親族殺人は、それとは少し事情が違うように思います。
このケースでは、認知症のお母さんは事件が無ければ2日後に介護施設に入ることが決まっていたし、自宅で入浴サービスも受けていたということです。

では、なぜ?

想像するしかありませんが、「もっと話をすればよかった」という息子さんの悔いや、「本当に真面目で毎日のルーティーン、流れを大事にされてる方」というケアマネージャーの証言、「この世に自分一人しかいなくて…」という本人の言葉から浮かび上がってくるのは、じっくり話す相手もなく、介護の手を抜くことを知らず、思い詰めて周囲の現実が見えなくなってしまった介護者の姿です。

週1の入浴サービスの間さえ、ホッと一息ついていたかどうか疑問です。真面目にずっと付き添っていたかもしれません。

そうなると、ワークライフバランスどころの話ではありません。

話をする/聞くことの重要性

この報道を聞きながら、私はある家族の話を思い出していました。

やはり娘さんがひとりでお母さんを看ていたケースですが、ある時お兄さんに、自分がどんなに苦労しているかを話したそうです。すると、
「そんなに大変なのか…」
お兄さんは奥さんと相談してお母さんを自分の家に引き取ることに決め、妹さんには何も言わずに家を改築までして用意を整えました。そして、

「さあ、今まで本当に大変だったね。これからはぼくたちで引き受けるから…」と言ったところ、なんと妹さんは激怒。
「話を聞いてもらいたかっただけなの!代わってほしいなんて頼んでない!」

そして、前と同じようにお母さんの介護を続けたそうです。

カウンセリングやコーチングが当たり前の社会に

介護も昔に比べれば、だいぶやりやすくなっていると思います。かつてはデイサービスもケアマネージャーも紙パンツもなかったのですから。

しかし、それでも不十分かもしれません。介護する人にはカウンセラーやコーチも必要ではないでしょうか?
家族や友人に傾聴してくれる人がいればラッキーですが、「解決してあげなくちゃ」と本人の代わりに考えてしまったり、ジャッジしてしまったりする人もいて、話をじっくり聞かない人は案外多いもの。また、親しいから話しにくいという場合もあるでしょう。

精神を病んでしまう前に、思う存分話し、心を整え、頭を整理し、与えられているリソースに気付くことができれば、避けられる悲劇もあるのではないでしょうか。

または、心理学や傾聴のスキルを義務教育に導入してはどうでしょう。必要に応じて人の話をじっくり聞いてあげられる人が増え、介護にかぎらず生きずらい人が減るでしょう。

中学校の勉強には、時間数を減らせる科目もあると思いますよ。
中学校で習ったことを全部覚えている人は珍しいようです。
詰め込みすぎじゃないでしょうか。
私ももちろん覚えていません。中学で習った勉強で全部覚えているのは英文法くらいです。
皆さんそれぞれ、覚えている科目もあれば穴がある科目もあるでしょう。
暗記しなければならない部分が多すぎるのではないでしょうか。

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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